うつ病で自暴自棄になったあげくに家出してしまった。
衝動的に家出?とも言えそうだし、あるていど思考判断がともなっての家出とも言える。自暴自棄で家出したというのが妥当でしょう。
勃発したのは夕方。晩ご飯を何にするか、休みの日はいつもこれで頭を悩ます。私が。いつもだ・・・嫁はなにも作りたくない様子である。
晩ご飯、何か食べに行こうか?でも今日は、娘が勉強しないといけないから外にいけない・・・じゃぁどうするの?
何かとろうか?ピザ、寿司?
さんざん悩んだあげく、娘がピザと決めてくれた。
ところが・・・なにか、体がうずいてきた。夕飯に悩んだことと因果関係はよくわからない。しかし、体がジッとしていられない衝動感に駆られて仕方がない。
うずく・・・うずく・・・うずく。
まずい、また、暴れそうだ。トマト系と中ジョッキを飲んで、お金を置いて、私一人で飛び出す。上着を着て外へ。
うつ病の私に対する嫁の態度が沸々とわいてくる。本当に苦しいの?うつ病の鉛のような胸の中の苦しさを理解してくれない嫁。
しかし、そう言われてもしょうがない。私はうつ病できちんと働けずに家族に迷惑をかけているのだ・・・・・・。父親も一家の大黒柱も、その責任を全うしていないではないか?
嫁と娘に自分の存在を賭けて財産を残す。そうすれば、私もここまで苦しまなくても良くなる。消えてしまうのだから苦しむも何もない。
無になるのだ・・・しかし家族には財産が残る。
こんな衝動にかられつつ現実検討能力も少し残っていた私はすし屋に行った。ボトル1本の焼酎を空けた。しかし酔わない。
その後は朝まで飲んだくれる。金は相当、使った。
明け方、こっそりと家に戻り、パスポートをとり、再び家出した。
マンションに敬礼。決意した。
眠たい、とりあえず、ネットカフェで睡眠。薬がないので眠れない。
そんな放浪を何日も繰り返していた。
家出中の行動は記憶しているようで全く記憶していない部分もある。
このあたりからも、私の家では衝動性と現実性が混ざっていたように思う。
何日経過したかはわからないが、携帯が鳴っていた。
とりあえず・・・娘に電話してくれとメールが何度も届く。
家族は心配しているようだが、娘を使って私に連絡を取ろうとする算段に少し嫌気した。
娘に電話をしてみた。
「パパ、どこにいるの?帰ってきて・・・・・・」
「パパは仕事帰りに、お酒も飲まないぐらい、マジメだよ」
なんだかよくわからない、娘の言い分だったが「効いた」
実は、私が家出したことで、嫁は警察に届けていたらしい。
そのとき、嫁は警察の人から少し叱責されたらしい。最近、私のような男(旦那)が増えているらしい。奥さんの強い言葉でうつ病になる、悪化する。うつ病は病気なんだから理解してあげて治療に協力してあげないと、次回の家出は本当に問題が起こる。起こってから後悔しても遅いから、奥さんも少し、うつ病を理解してあげてやってくださいと・・・。
嫁はかなり反省している。もう一度だけ信じることとした。
追記
うつ病患者はいかに家族に支えられるかで予後が決まるような気がする。
うつ病患者と家族は、うつ病患者と医者との関係以上に大事な関係であるとも言える。ネットを見渡せば、患者と家族のドキュメントを描いた書籍がいくつか見つかった。その中でも、うつ病の妻に僕のしてあげられることを読んでみると、家族側の心理を患者の視点で読み解くことができたのだった。これは貴重な作品だろう。患者の立場で読むと、家族への罪悪感のようなものがわいてくる反面、家族への気持ちの持ちようについて考えさせられてしまった。