うつ病による休職は家族への罪悪感で休養とは言えないかも?治療のため主治医に診断書を書いてもらい休職するも、復職はおろか、退職の危機感さえ高まる。うつ病になったこと‥‥この、人生最大の危機を克服できるのだろうか。うつ病発症から休職と復職の過程で家族とのあつれきについて語るブログ
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うつ病患者として迷惑だった接し方&嬉しかった接し方を全て書きます


ご家族、ご友人がうつ病罹ってしまった場合、どのように接したらよいのか?


この問題については、多くの本に書いてあります。大抵は「頑張れ」は禁句という言葉で記されていて、では具体的に患者さんが何にどのように苦しんでいるのかはあまり書いてありません。そして、接し方について書かれていても、当事者がどう接して欲しいか? の生の声が世の中に出回ることは多くない現状です。

そして「頑張れ」という言葉は確かに禁句と言う点では間違いはないのですが、それはある一定のラインに達するまでの話です。

本を出版されているのは医療者が書いたもの、または監修したものであり、当事者や患者が書いたものはあまりお目にかかれないというのが実態ではないかと思います。そこで、元患者が患者側の視点に立ってどのようなことがありがたいのか、どう接して欲しいのか? どのようなことが迷惑(辛い)のか書いていこうと思います。

なお、私は医者ではありませんので、あくまでも個人的意見と思って頂きたく存じます。


うつ病は最近は「心の風邪」という言葉で表されることが多いものですが、実は症状としては相当辛いものです。
心の病気だけに痛みは基本的につきまといません(稀に仮面うつ病の場合は痛みが伴う場合もありますが)
実はそれだからこそ厄介な部分もあるのは確かなことです。また、近年では、「うつは心の風邪」というキャッチコピーが定着していますが、逆に考えるとそう言わざるを得ないところに、心の病気に対する根強い抵抗感があるのではないかとも思います。

基本的には、どの診療科も全くといって良いほど同じなのですが、健康管理意識が強く、「ちょっと調子が悪いな」と思ったら即座に病院に行く方はあまり多くは無いのではないかと思います。

特に、男女問わず、働き盛りの方は、「心の病気」というレッテルを貼られるのを嫌がるものです(かくいう私もそうでした)ですから、病院に行く前段階として、もし、ご同居のご家族・伴侶が調子が悪そうでしたら、本人に抵抗感があるようでしたら、ご家族・ご同居の方から、「病院に行った方がいいよ」と勧めるのが大事だと思います。

どの病気も早期発見、早期治療が最も効果的であるのは、当然誰もが知っていることだと思います。心の風邪も、心の病気も例外でないことを忘れないで頂きたいと思います。


それでは、どの病院にかかるのが、良いのか話を進めて行きましょう。


私は基本的に、総合病院・大学病院または、クリニック。どれにかかっても基本的に同じだと思います。問題は患者さん本人にあると思います。

大学病院・総合病院の場合ですと、複数の医師が必ず常駐していますので、安心は安心です。それに、規模が大きい病院であればあるほど、他の診療かが必ずあるので、「うつ病」しれないけれど、実は違う病気かもしれない場合もありますので、検査が割りと迅速に受けられるというメリットは確かにあります。

だからと言って、その複数人の医師の全員が全員、技術的にも高い水準にあり、高い理念を持っているとは限りません。総合病院・大学病院を誹謗するつもりは全くありませんが、場合によっては技術的に高い水準にある医師の診察を受けられない可能性があることは否定できません。

また、総合病院・大学病院等規模の大きな病院になればなるほど、「初診」の予約が受け付けられるまでに待たされる可能性もあることも否定できません。

クリニック等、小規模な開業医の場合、開業しているぐらいですから、恐らく医師は自信を持って診察にあたっていることとは思われますが、万一他の病気を併発していた場合、即座に検査を受けられるかどうか少々疑問です。高い理念と、高い技術を持っているからこそ、開業できたのだと思いますが、これも場合によっては、親が開業医で、子息がそのクリニック等を受け継いだ可能性も中にはあると思います。ですから、そこまで突っ込んで考えた場合、本当に技術的に高い水準を持っているかどうかは本当のところは不明です。

また、特に個人開業のクリニック等の場合、医師が一人しかいないことも場合によってはあるかもしれません。そういう場合はどうしても具合の悪い時に即座に他の医師にかかれないところはクリニック等のデメリットでしょう。

いきなりデメリットを書きましたが、これには理由があります。風邪を引いた。腹痛を起こした。等々の内科的な症状の場合、特定の医師に診察を受けなければならない理由は必ずしもあるわけではありません。それに対して、うつ病のように、心身ともに疲れきって、特に心に貯まった負担が大きくて体調自体を崩してしまった場合、最も早く治るのは「信頼できる医師に出会えて、誰にもい言えなかった心の重石を早いこと吐き出してしまうこと」が、最も近道だと思うからなのです。うつ病・もしくは抑うつ状態の疑いがある場合の医者選びは慎重にして頂きたいと思います。

自らの体調不良が、内科的・外科的疾患ではなく、「心から来る病気」と自ら悟って病院に行こうとされている方については、上記の通り、総合病院等にするか、クリニック等にするかは、ある程度は本人に任せても良いと思います。ただ、もし、その方が、ご同居の家族であったり、配偶者であったりした場合は、第1回目の診察と少なくとも検査が終わるまでは、時間が許されるならば、同伴してあげて下さい。それにもやはり大まかに分けて2つの理由があります。

まず、第1の理由なのですが、うつ病・もしくは抑うつ状態の患者さんは、概して記憶力が低下していることが往々としてあります。医師に言われたこと、医師に指示されたこと、そして処方された薬を、同伴した方が基本的に管理して欲しい、という理由が第1です。

第2の理由は、やはり第三者の目として、同伴された方がその医師が本当に信頼に値する方か客観的に観察して頂きたいのです。ドクターショッピングはお勧めしませんが、第三者の視点で「この医師は信頼できない」と感じたならば、患者さんが医師を信じきってしまう前に、医師を替えるか、病院を変えることは重要だと思います。

体調が悪いにもかかわらず、医者にかかろうとしない方の場合なのですが、これは迷わずクリニックではなく総合病院・大学病院等できるだけ規模の大きな病院に行くように誘導してあげて下さい。(私もそうだったのですが)こういう方の場合、原因が無いのに体調が悪くてもなかなか自発的に病院に行こうとしません。

また、場合によっては、はっきりとした抑うつ状態に該当する症状(代表的なものとして睡眠障害)が現れているにも関わらず、精神科・神経科・心療内科等に対して偏見を持っている可能性があります。

うつ病は場合によってはストレッサーが無くなることにより、自然治癒してしまうこともあるのですが、それは例外的と考えた方が良いと思います。調子が悪いのに我慢を重ねれば重ねるほど、殆どの場合が症状が悪化してしまいます。とにかくこういう頑固な方には、自らがうつ病・抑うつ状態にあることを知らしめるために、内科的には何の問題も無いことを診察費はかかるかもしれませんが知らしめる必要があると思います。

そして、内科の医師に、内科的には問題がないことを本人に伝えてもらい、例えば不眠の原因がストレス等から来ていることを言ってもらって下さい。そして、出来ることならその日のうちに、精神科・神経科・心療内科等の、心の病気を扱っている診療科への紹介状を貰って下さい。そして、診察を受けさせて下さい。とにかく、うつ病にしろ抑うつ状態にしろ、「自分が今そういう状態にあるんだ」ということを本人が納得しなければ、悪くなることはあれ良くなることはありません。ですから、先にクリニックのところで書きましたが、初回の診察時及び検査結果が出るまでは、時間が許されるなら出来るだけ付き添って行ってあげて下さい。

どう言っても、どこの診療科にもかかろうとしない方の場合なのですが、こういう方の場合、上手く行けば場合によっては放っておいても治ってしまう可能性は若干はあります。しかし、どのようなストレスに晒されているのか分かりませんが、同じストレスに晒され続けた場合には残念ながら、悪くなってしまう可能性の方が高いと思います。この場合、本人が頭が上がらない方に説得を依頼するしか恐らく方法は無いのでしょうが、とにかく良くなることを天に祈るしかありません。

病院の形態にかかわらず、同居していたり、近くに住んでいたりして、病院に同伴できた場合なのですが、心配は分かるのですが、出来るだけ患者さんに話させた方が良いと思います。仮に患者さんが言っていることに違和感を覚えたとしても、途中で口を挟まずに、医師と一緒に患者さんの話を聞いてあげた方が良いと思います。仮に患者さんの言っていることが、辻褄の合わないことでも、そうは思わないことでも、途中で口を挟まない方が良いと思います。

つじつまの合わないこと、そうは思わないことは、医師が必ず「どうして、そう思うの?」、「どうして、そう感じるの?」等々必ず言ってくれます。余計なところで口を挟む接し方だと、患者さんは、次からの同伴を場合によっては拒むようになります。個々人の心の奥底の悩みは、例えどんな些細なことでも、本人が感じていることを理解することは、素人では難しいのです。余計な口を挟むことで、患者さんが本心を言わなくなるようなことが無いように接してください。

こうなったら、敢えて言うことはありません。医師と看護士に任せて、退院してくる時は良くなって戻って来ると信じて、とにかくご自身の体調管理に一番気をつけて下さい。

また、入院となった場合なのですが、入院初日は、余程のことが無ければ、一緒に病院に付き添って病棟まで行って下さい。患者さんは本当に不安です。具合が悪いのに、住み慣れた家・常に一緒にいた家族から一時的とはいえ、常時顔を合わせることが出来ない状態になるのです。少しでも不安を和らげるように援助してあげて下さい。

かと言って、病棟に入ったら、同室の患者さんに挨拶を済ませて、所要を済ませたらいたずらに長居しないようにしてあげて下さい。患者さんは、否が応でも病棟内で、同じ病棟で入院している患者さんとの人間関係を築かなければならないのです。ずっと付き添っていてあげたい気持ちは分かりますが、付き添い時間が長ければ長いほど、患者さんは本当に具合が悪くて動けない状態でなければ、間仕切りで仕切られたベッドの周りの狭い空間しか行動範囲が無くなってしまいます。入院が患者さんにとって益々ストレスを感じる場にならないように気を遣ってあげて下さい。

但し、お見舞いなのですが、基本的には行ける方は、短時間でも構わないので、2〜3日おきに誰かしらが行ってあげて下さい。入院した病棟での人間関係はある程度重要ですが、やはり赤の他人よりは、家族、配偶者等々身近な人が来てくれる方が本当に嬉しいものです。面倒臭いかもしれませんが、1ヶ月もすれば、入院の場合余程症状が改善しない場合を除き、外泊によって帰宅が許されるようになります。1ヶ月の辛抱と思って短時間で全く問題ないので、出来る限りお見舞いに行ってあげて欲しいと思います。

お見舞いに行くことは、本人にとって心が休まることであると同時に、入院患者さん同士の人間関係から、一時的にでも開放されることも意味しています。(患者さん同士の人間関係は必ずしも良いものとは限らないのです。)

あとは、良くなって退院してくるまで、気長に待ってあげて下さい。


外来治療となっても、男女を問わず、通勤または家事等に支障が無い、と言われ、単に抗鬱剤と精神安定剤場合によっては睡眠薬が処方された方は、とにかく無理しないで頂ければそれで問題は無いと思います。処方された薬を決められたとおりにきちんと服用していれば、時間の問題で抑うつ状態は改善してくると思います。このケースに当てはまる方は、とにかく医者がもう大丈夫と太鼓判を押すまで、自己判断で通院を中止しないで頂ければ、それ以上悪化することは稀なのではないかと思います。

このケースに当てはまった場合は、絶対に無理させないで下さい。仕事を休むよう診断書が出たならば、しっかりと休ませるべきですし、当然家事等も然りです。今の状態は、入院する必要までは無いものの、仕事・家事等は無理と医者が判断したのです。患者さんが男性ならば、絶対に仕事に行かせてはいけません。診断書が出たら、もし会社が認めてくれるならば、配偶者・ご家族が診断書を持っていっても問題ないと思います。逆に患者さんが女性で既婚者の場合でしたら、ご主人が家事全般をするべきです。余程料理好きなご主人でない限り殆どの方が、奥様の家事の大変さを知らないことでしょう。この機会に奥様が毎日どれくらい大変な思いをしているか知るべきだと思います。

とにかく、こういう診断が出たら、入院一歩手前の状態なのだということを患者さんに自覚させて、自発的な気晴らしに類する行動以外は基本的にさせないで、とにかく休ませることに専念させて下さい。


さてここからは、うつ病患者として「どのように接して欲しいか?」「その接し方の何が迷惑だったか?」について書こうと思います。

但し以下はあくまでも個人的な経験に基づくものであることはご了解下さい。(全てが正しいとは限りません)

うつ病に罹って病院に通い始めた直後、そして投薬治療中。「がんばれ」やはりこの言葉はきついです。この言葉に限らず、例えば「あなたは、やれば出来るんだから」等々の励ましも相当きついです。頑張って頑張った末に、うつ病になってしまったのです。

そして今現在も何とか以前の自分を取り戻そうと他の人の目には見えないかもしれませんが、患者さんは頑張っているのです。それ以上に頑張ることを要求されると患者さんは自分に自信を更に失います。この類の言葉をかけ続けることは、この段階では絶対にするべきではありません。完全に自分を「駄目な人間だ」と、思わせてしまえば、うつ病の起こしうる、最悪の結果が、予告もなく突然なされる可能性が出てきてしまいます。そうなれば、瞬間的に全ての事態と一人の人生が〝終わりを告げる〟のです。

見ている方は本当に歯痒いとは思いますが、通院だけはしている。お薬だけはしっかり服用している。それだけでも頑張っているのだということを認めて接してあげて下さい。但し、あくまでもこの類の言葉は、この時点での禁句であって寛解するまで絶対にかけてはいけない言葉ではありません。

私は、これを駄目とは思いません。自宅療養を余儀なくされている方は、やはりある程度は暇です。うつ病というと、年柄年中辛いというイメージがありますが、必ずしもそうとは限りません。

眠れなくて、気分も落ち込んで……という時は、やはり誰とも会うのも辛いですし、話すのも嫌なものですが、抗鬱剤がある程度効いてきて、睡眠薬で眠れて、精神安定剤で落ち着いている時はやはり暇です。かと言って外出する元気があるかと言えば、そうとも限りません。ですから、ご同居のご家族・配偶者の方が、本人の調子が良いことを伝えてきて、本人が会いたい、という希望を持っていることが確認できた時は、訪問しても問題ないと思います。

但し、あくまでも精神の均衡はお薬のおかげで保てているのです。当然のことながら、短時間しか居てはいけないということは忘れないで下さい。調子が良いようでも、訪問者があれば仮にそれが家族であれ、やはり患者さんは疲れるものです。その点には配慮してあげて下さい。

それから、訪問する時は、基本的には少人数にすること。そして、訪問される方にお子様がいらっしゃるようでしたら、お子様をどなたかに預けられないようでしたら、訪問は見送って下さい。お子様の無邪気な姿は心和むのは事実ですが、必要以上に騒がれるとかなり神経がピリピリするものです。訪問するとしても「お見舞い」だと言うことは忘れないで接してください。

また、訪問について続きなのですが、ご友人・会社の同僚の方は基本的には控えて下さい。今患者さんは世間のしがらみから解かれてようやくお薬を頼りながら落ち着きを取り戻しつつあるのです。仲の良いご友人・会社の同僚の訪問を受けると、患者さんは現実に引き戻されてやはり相当焦ります。仮に話題に気を配ったとしても、患者さんの心は掻き乱されます。治って元気な姿で出てくるまで基本的には訪問しないで下さい。どうしても心配でしたら、配偶者または同居のご家族から患者さんの状態を聞くに留めておいて下さい。

なお、蛇足ですが、訪問した折には患者さんの状態あまりこと細かに聞きだそうとはしないように接してください。患者さんは具合が悪ければ来て欲しくないのです。訪問に応諾を得られたということは患者さんの調子が良いということを、当然分かっていてあげて下さい。

電話については、私は特段の賛成も反対も無いのですが、毎日の電話。そして長電話は基本的にあまり賛成は出来ません。

電話は顔が見えない分、相手の声で調子を探ることになります。声を聞いて調子が悪そうだと思ったら、「今日は調子が悪そうだから切るね」という配慮が出来なければ、どうしても患者さんの調子を探ることになってしまいます。調子が悪いのに電話に出ていて、更に調子を探られた時にはたまったものではありません。そういうことが続けば、患者さんは必然的に電話に出ることを嫌がるようになります。

但し、患者さんが独立していてかつ配偶者がいる場合ならば、配偶者に調子を聞くのは良いと思います。問題なのは、一人暮らしをしている患者さんの場合です。近くで一人暮らしをしているのならともかく、離れた所に住んでいる場合は、様子を聞くのに手段としてはやはり電話しか無いのかもしれません。その場合は、固定電話でも携帯電話でも、本人が出なかったならば、「何時にもう一回電話するね」、とか「気付いたら電話頂戴」というメッセージを残すのが一番だと思います。

再度電話をかけたら応答したり、折り返し電話が戻ってきた場合には、対応としては調子をうるさく聞くのを避けるのは同じだと思います。しかし、一人暮らしをしている場合は、やや恣意的に電話を無視することもあり得ることなので、初めにうつ病で伏せっていることを聞いた段階でお互いにどうやって意思の疎通を図るのか事前に決めておく必要はあるのかもしれません。

うつ病患者から、友だちであるあなたのところに行きたいと言われた場合、用があるといって断る接し方をしてください。ご友人の場合は、万一患者さんがご友人宅で具合悪くなっても対処法を分かっていないでしょうし、行きたい理由が本当に純粋に遊びに行きたいのか、あるいはうつ病ならではの最悪の結果を出すのにふさわしい場所として患者さんが考えているのか分からないからです。

元々うつ病の場合覚悟の上での……ということは殆ど無いと思うのですが、発作的に何か事故が起こったら取り返しがつきません。寛解して元気になってから来てもらっても十分です。これは患者さんを守ることの他に、ご友人本人を守ることでもあると思います。

実家・自宅に家族が招待するのは患者さんが行きたいというのであれば、特に問題はありませんが、呼びつけるようなことはしないで下さい。今は休養中なのだということは分かっている筈です。一人暮らしにせよ、独立して家庭を持っている患者さんにせよ、もう患者さんが一番心休まる場所は、実家でも自宅でも無いのです。

自分の拠点を持っている患者さんが来たいというならば別ですが、生まれ育った場所だから、今まで一緒に生活してきたのだから、という理屈は招待する側の思いだと思っています。
また、患者さんが来たいという場合は、基本的には休める場所を用意しておいてあげて下さい。どのような手段で来たのであれ、普段は横になっていることが多い患者さんにとって外出はやはり相当疲れるものです。行ったら疲れて悪くなった、ということにならないように接してあげて欲しいと思います。

このことについてなのですが、大抵の本では原則好ましくないと書いてあると思います。しかし、私は必ずしもこれが駄目だとは思いません。当然横になっていなければ辛い。安定剤を飲んでいても気分が落ち着かない。睡眠薬を飲んでも眠れない状態の時はこれは駄目というより無理ですが、一歩進んで安定してきた時は、本人が自発的に行きたいという意思表示をするのであれば良いのではないかと思っています。

というのは、うつ病というと何かと気分的なものばかりが取り上げられるのですが、肉体的な活動が減る分目に見えて体力も低下するものです。そして、うつ病の治療の中には体力回復トレーニングというものはありません。活動できる気力が湧いてきたら、自発的に運動して体力を元に戻さないといけないのです。ですから、旅行については前提として、気分の安定と睡眠の確保がある程度定着してきたら、初めは軽い運動程度の旅行から。そして、睡眠が確保できているのであれば、一泊旅行も悪くは無いのではないかと思います。


但し、この旅行については、あくまでも患者さんの自発的意思が尊重されるべきものであって無理強いすべきものではないことは当然のものと思っていて下さい。
仮に旅行に行くことを日帰りでも、一泊でも計画するならば、事前に予約が必要なパッケージツアーは難しいかもしれません。とにかく体調は旅行当日の朝までどうなるのか分からないですから。パッケージツアーではなく少し高くつきますが、全てが当日予約扱い(割引無し)の旅行が良いと思います。その方が、結果として体調が悪ければ中止すればそれまでですので・・・。(パッケージツアーの場合でしたら、当日キャンセルは恐らく相当キャンセル料を取られると思います。どちらが得かは企画される方がご判断下さい。)何度も言いますが、くれぐれも無理はさせないような接し方に徹してください。

うつ病患者である私が、こんな接し方をされて嬉しかったことを一つだけ書いておこうと思います。

食事、洗濯、掃除…。数えていったら本当にきりがないのですが、その中で本当にありがたかったことがあります。それは何かといえば、前の晩眠れなくても、日中具合が悪くても、朝になればカーテンを開けて、時計を見なくとも今が朝だと知らせてくれたこと。

そして天気が良い日は窓を開けて心地良い空気を通してくれたことです。睡眠障害(不眠症)はうつ病になると何らかの形で出てくることが多いものです。そして、不眠症といえば、一般的なイメージでは全く眠ることが出来ない症状または病気と思われがちですが、決してそんなことはありません。通常は16時間程度で眠気が自然に訪れて8時間ぐらい睡眠を必要とするものが、眠気が訪れなかったり(入眠障害)、何度も夜中に目覚めてしまったり(中途覚醒)、とんでもなく早い時間に目覚めてしまう(早朝覚醒)のが、不眠症です。そういう症状が現れると簡単に昼夜逆転してしまうものなのです。厳密に言うと単純に昼夜逆転するのではなく、その日その日によって睡眠が取れたり取れなかったりすることもあるのです。


そういう所謂昼夜逆転を防ぐのが、朝になると横になっていて起きれなくてもカーテンを開けて陽射しを部屋に引き込んだり、天気が良い日はカーテンを開けて空気を入れ替えることなのです。患者さんは、陽射しが入ると今が朝であることを起きれなくても基本的には察知しています。そして良い空気が部屋に充満すると起きてみようという気力が湧いてくるものです。医学的に良い空気がやる気を引き起こすかについては正しいのは分かりませんが、やはり部屋を通る風は精神安定剤以上に気分を安定させてくれるものではないかと私は思っています。


私は時には、昼夜逆転してしまうこともあったのですが、そういう状態になった時に、こういうことをしてもらうと意外と簡単に逆転だけは治ったことを今でも記憶しています。
ですから、ご家族の中にうつ病の患者さんがいらっしゃったら、起こすためではなく、あくまでもさりげなく時間感覚を失わせないような手伝いをしてあげるのは有益だと思います。そして、これが一番後々、うつ病患者に喜ばれる接し方になるのではないかと思っています。
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