うつ病による休職は家族への罪悪感で休養とは言えないかも?治療のため主治医に診断書を書いてもらい休職するも、復職はおろか、退職の危機感さえ高まる。うつ病になったこと‥‥この、人生最大の危機を克服できるのだろうか。うつ病発症から休職と復職の過程で家族とのあつれきについて語るブログ
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うつ病患者の配偶者の心のケア


うつ病というと、患者さん本人に対する接し方。気遣いの方法等は、本で調べれば大抵の場合載っています。しかし、うつ病を看護する配偶者の方の心のケアと言うものについては、そう多くはありません。

うつ病の患者に大抵ついてまわる不眠症に一緒に付き合っていたら、世話をする配偶者までが場合によってはうつ病になってしまう可能性がある非常にデリケートな問題なのです。よってここで配偶者の心のケアというものについて、簡単ではありますが私なりの意見を書かせて頂こうと思いました。全てが正しいとは思いませんが、重要な問題の一つですので、看護する側の方には是非とも予防を兼ねて読んで頂きたいと思います。

まず、私がこの記事を書こうと思ったきっかけは、私がうつ病をほぼ寛解して、周囲で私のことを気遣って下さった方のお気持ちがようやく理解できるようになってからのことです。実はそれまでは、介護される立場であった私は殆ど自分のことしか考えられる状態に無く、常にではないのですが、状態が落ちてゆく時、または急激に浮上してくる時には、自分の生きている意義を見いだせずに、時によっては「死」を何度も考えました。

今は寛解し、「死」を恐れるようになっていますが、当時は小爆発(ストレスの吐き出す場所が無いための言わば八つ当たり)と「今から死ぬから薬を全部出せ」と命令口調で妻に何度も言ったものです。

――それでは、本題に入ろうと思います。

私は、夫の立場ですが、女性も男性もうつ病に罹ってしまう可能性があるのは全く同じだと考えています。ただ、奥様がうつ病に罹ってしまった場合とご主人様がうつ病に罹ってしまった場合の打ち明けられるコミュニティーが異なるからです。

男性の場合、後にも触れますが、地域・地区のコミュニティーのみならず、職場という、全く奥様がうつ病に罹ってしまったことを打ち明けてもそれが問題にならない、もしくは大きな噂にならない職場というコミュニティーを持っているからです。専業主婦ではなく、兼業主婦の場合にはそういった職場と言うコミュニティーを持っているかとは思いますが、それこそキャリアウーマンで無い限り、職場のコミュニティーと言っても大体の場合、パート先といった限られた場所。それもパート先を選定する場合給料も当然大事な要素だとは思いますが、パート先を選ぶ場合、どちらかと言えば家庭から近い場所を選ぶのが大体一般的なのではないかと思います。

また、ご主人様の状態があまりにも酷い場合には、パートの場合ご主人様が寛解されるまで一旦そういった職場というコミュニティーから離れなければならない可能性もあることから、悩みを打ち明けられる相手が男性に比べて範囲が狭くなると思われますので、敢えて『配偶者』という言葉を使わせてもらいます。

このケースに当てはまるのは、介護するのが男性ということになるでしょう。私は男女差別をするつもりは毛頭無いのですが、現在の日本に社会においては、大体の家庭が、ご主人様の給与によって生計を立てられていることと思います。簡単に言えば、奥様がうつ病に罹られても看護を理由に会社を休むことはなかなか難しいことなのではないかと思うのです。

でも本当に難しいのでしょうか?私はこのケースについて言えば、稼ぐのは自分という特権を利用して看護の一部放棄をしているように思えてなりません。当然のことながら、奥様のご実家・ご自身のご実家には事態を連絡して支援を仰ぐことになると思うのですが(特にお子様がいらっしゃる場合は支援は不可欠となると思います)、奥様が気を遣わないようにするために支援を仰ぐのは奥様のご実家ということになるかと思います。

そして、日中は仕事をしていることで、ご家庭のことを顧みる必要はあまり無いように思われます。以上を考えますと、奥様がうつ病に罹ってしまった場合のご主人様の心のケアという面はあまり気にすることは無いと思います。

先ほど触れたコミュニティーに話を進めます。男性の場合、大抵の場合は会社にお勤めになっていると考えられます。「会社」とはコミュニティーの中で最も他人に対する関心が薄いコミュニティーだと私は思っています。ですから、「女房がうつ病になってしまって・・・」等のことを上司に相談しても、同僚に相談しても、それが、ご家庭が住まわれているコミュニティーに直接返ってくることは殆ど皆無に近いと思っています。ですから、男性で職に就いていらっしゃる方は、地域と言うコミュニティーで話をしなければ殆ど問題にはなりませんし、会社で話すことによってストレスがかなりの部分で発散されると思うのです。また、奥様のご実家から支援を受けられる場合は、日中の奥様の状態を心配する必要も殆ど無いと言っても過言ではないでしょう。ですから、奥様がうつ病に罹ってしまっても男性の場合は殆ど影響が無いと私は私見ですが思っております。

このケースについては、奥様がうつ病に罹ってしまった場合より深刻だと思います。先にも述べましたとおり、日本の社会では、未だに生計費を稼ぐのは夫。遊興費を稼ぐのは奥様。という観念が未だに根付いていると思います。その考え方によれば、生活を維持してゆくための生計費を稼いで貰わなければならない、言い方は古いかもしれないですが、一家の大黒柱がうつ病によって倒れたのです。本来的には、休職・欠勤によって少なくなった生計費を稼がなければならないのに、正社員ではない限り、基本的にいくら頑張ったって減額された給与を取り戻すために仕事に費やす時間を増やすのはなかなか難しいと思います。

また、ご主人様がうつ病で倒れた場合、今度はご主人様の実家に支援を仰がなければならないのは同じですが、男性の総合職の場合、転勤がない会社ならともかく、大抵の場合転勤が伴っているのではないかと思うのです。場合によっては地理的な問題で支援を仰いでも、物理的に無理な地区に住んでいるという可能性も捨て切れません。
そして、奥様がうつ病に罹ってしまった時の配偶者の心のケアには書かなかったことなのですが、うつ病とは、常に落ち込んでいて、常に死ぬことばかり考えている病気ではありません。本来ならば、外側に貯まったストレスをちょっとずつ吐き出して昨日は昨日、今日は今日という考え方を持てなくなっている病気です。ですから、仮に自宅療養をしていても、ストレスを発散する方法を本人が身につけるまでは、内側に貯まったストレスをある時突然外に向かって発散し始める所謂小爆発を繰り返す病気でもあります。ここで男女の差がはっきりと分かれるのです。男女の差とは考え方・物事の感じ方を言っているのではありません。体力的な差を言っているのです。うつ病に罹ると大抵の方が不眠も併発します。ただでさえ眠れないご主人の世話をして疲れているのに、自分に非が全くないのに、八つ当たり的に小爆発を繰り返されていたらたまったものではありません。

また、コミュニティーに話を戻しますが、男性の場合、話しても直接影響を受けないコミュニティーを持っているのに対して、女性の場合、親友・両親しか悩みを打ち明けられる場所はありません。パート先が近所の場合であれば、パート先も一種のコミュニティーと言えるでしょうが、噂が広がって収拾がつかなくなる恐れがありますから、迂闊には話せないでしょう。また、生活のことを考えると悩みは男性よりもずっと深いものとなってしまうのは自明の理なのかもしれません。

うつ病は伝染病ではありません。しかし、打ち明けたい悩み、誰かに話してスッキリしたい話を心の奥底に沈めることは簡単に言えば、自らが「うつ病予備軍」となる可能性が大きいのです。ですから、男性よりも女性に対しての心のケアはずっと大事だと思いますいます。

それでは一体どうすれば良いのでしょうか?

病院に同伴するとなると、配偶者の現在の状態を話さなければならないだけ、という考えは間違いです。専門家でプロである医師は、患者さん本人の状態を診て聴いているだけでなく、その状態を説明している配偶者の状態もしっかりとチェックしています。場合によっては、患者さんを一旦待合室に待たせて、ご自身の状況をしっかりと聴いてくれることもあります。また、聴いてこない場合は、医師にお願いして、「お話したいことがあるのですが・・・」と持ちかければ必ず聴いてくれます。ですから一人で悩まないで、一人で抱え込まないで、プロである医師に自分の状態がどうなのか診察してもらって下さい。

状態が状態ならば、場合によってはお薬の処方もして頂けます。心の内側に蓄積したストレスは心が耐え切れなくなる前に全部外側に吐き出してしまうのが一番早く治るものです。いくら信頼がおける両親であれ・親友であれ、根本的な解決策を出してくれることは出来ないでしょう。下手をすると「離婚したら?」という人生に汚点をつけてしまうような答えが戻ってきたり(仮に、配偶者からの暴行行為に耐えられないのなら別ですが・・・)、病気の配偶者を見捨てた、という罪悪感に悩まされ続けなければならなくなることもあるのです。出来ることならば、早い段階から時間が許す限り同伴し、患者さんの状態をしっかりと正確に伝えること。そして、ご自分の気持ちをしっかり伝えて、患者さん本人だけの治療ではなく、自分自身も巻き込まれないように努力する必要があると思われます。

何はともあれ、何度も繰り返し言っている言葉かもしれませんが、うつ病は伝染病ではありませんが、周囲の人を巻き込む傾向があることは間違いないです。その周囲の人の中で最も近い位置にいるのが配偶者なのです。絶対に共倒れとならないように、自分のケアにも心掛けて下さい。
楽しい・素晴らしい人生はお金には変えられません。その点を理解して、どうかご自身のことも大切にしてあげて下さい。

配偶者がうつ病になると「義父・義母と関係が上手くいっていない」とか、「義父・義母に私のせいにされた。」という二次的な問題が台頭してくる場合があります。

確かに、全員が全員お互いの両親と良好な関係にあるとは思っていませんし、中にはうつ病そのものに対する理解がなくて、折角連絡したのに悪人扱いされることもあるでしょう。ですが、本当に頼りになるのは義父と義母なのです。何と言っても、可愛い我が子なのですから・・・。
配偶者がうつ病に罹ってしまって、生活にも、精神的にも疲労困憊している時に、そういう言葉を言われるとさぞ辛いとは思いますが、絶対にそこで、絶縁状態になるような言葉は言わないで下さい。うつ病とは誰でも罹る病気だということを根気強く説明してあげて下さい。それでも理解してもらえないようであれば、可能であれば、義父・義母にも一緒に病院に同伴してもらって下さい。そして、それをきっかけに、義父・義母との関係を良くするように努力してみて下さい。
患者さんが寛解すれば、一時の感情で、罵詈雑言を言われたとしても、それが後には感謝になることは分かっているのですから・・・。

最後に一言だけ言わせてほしいと思います。
うつ病はどんなに酷くても、本人に「治りたい」「寛解したい」という気持ちがあれば、症状によっては時間はかかるかもしれませんが、治る病気です。配偶者がうつ病に罹患してしまった場合、うつ病の患者さんには、必ずと言って良いほど「重大な結論は今下さないように」と医師は言う筈です。それは、患者さんを支える配偶者の方にも言えることなのです。配偶者がうつ病に罹ってしまった方の気持ちは痛いほど分かります。でも、それ以上に苦しんでいるのは、患者さん本人なのです。自らが影響を受けてうつ病にならないように細心の注意を払いながら、いつかは「こんな時期もあったね」とお互いに笑いあって話せる日が一日でも早く訪れることを祈ってこの記事の締めとしたいと思います。
ありがとうございました。
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