仕事を休むきっかけは娘のストレスのことだったが、いろいろ考えてみると〝自分のうつ病〟を理由に仕事を休んでいる。
うつ病で調子が悪いことを堂々と理由にして休めないために、娘のストレス性体調不良のことを引き合いに出して仕事を休んでいるのだ。娘のストレス性体調不良とは…過換気症候群のこと。
――その日、パパ、胸が痛い、息ができないと娘から訴えられた。
出来事は突然、襲う。起きるのではない、襲うのだ。娘が急に泣きながら、私に訴える。楽しい、家族団欒の晩ご飯の時だった。
私は娘の胸を押さえながら、妻に救急車を呼ぶように言った
救急車が到着して、脈拍・心拍数・息づかい…調べたが何の異常もない。ホッと一息、安心。病院に行き、レントゲン、血液、触診…すべて異常なし。
過換気症候群と診断された。
受験勉強からのストレスか?放っておくとうつ病になる?
ところが妻は、この件の原因がストレスであることを除外しようとする。
ストレスではなく、身体のどこかの異常であると思っている。
そもそも、妻はストレスという無形の症状を信用しない。
うつ病の私についても同様だ。うつ病という病気そのものだって、症状ではなく怠け心であると偏見をかける傾向にある。
悲しいことだ……心から身体に異常が出るということを体験もしたこともなければ勉強したこともない妻には、心がくたびれたら病気として症状を呈するという現象が理解できないのである。
その一方で、私は心の病気うつ病になったから体験的に理解できるのである。
うつ病は心の健康な人には、どこがどう苦しいのか?本当に病気なのか?理解しがたい病気である。なぜなら、レントゲンで疾患箇所を特定して視覚的に指摘できる病気ではないから……
うつ病になって家族の理解が治療に貢献すると主治医から聞かされているが、本当にそう思う。「本当に病気なの?」「ストレスなんて気合いで吹き飛ばすもの」と疑われながら仕事を休んだり家に居たりすることは、風邪で高熱にさらされながら雨に打たれているのと同じに違いない。
妻にはもう少し、うつ病の知識をつけてほしいと願う。
また、娘のストレス性過換気症候群が一過性であることを願う。